見知らぬ人の泣ける話・感動する話 18選
「見知らぬ人」をテーマにした、3分で読める短い物語。泣ける話から、くすっと笑える話まで。
17216115414313413311610770696867666564636261
燻製の本のあいだ
図書館の「ご自由にお持ちください」の棚でもらった燻製の入門書。ページのあいだに、知らない二人のメモが九枚挟まっていた。
もうひとりの佐久間さん
丁目がひとつ違うだけの、同じ番地の同じ苗字。四十年あまり、郵便を届け合ってきた相手の顔を、私はまだ知らない。
立会人席
市議会議員選挙の日曜日。小学校の体育館の投票所で、朝七時からパイプ椅子にすわっている七十一歳の立会人。
写ルンです、残り四枚
夏休みの一人旅。灯台の前で、老夫婦に写真を頼まれた。渡されたのは、画面のないカメラだった。
スタンプの送り方
病院の待合で、隣のおばあさんに「これ、どうやったら動物のが出るの」とスマホを差し出された。
臨時列車
花火大会の帰り、すし詰めの臨時列車。男子高校生の足もとに、迷子の女の子がいた。
立ち往生
大雪で止まった高速道路。隣のトラックの運転手がくれたもの。
午前二時のコインランドリー
誰かの乾燥機が止まったまま、持ち主は現れなかった。
優先席
妊婦だった私に席を譲らせた高校生と、二十年後の同じ言葉。
手帳の余白
受験直前に電車で落とした手帳が、知らない人の書きこみ付きで戻ってきた。
錆びたブランコ
家出した夜の公園で、隣のブランコをこいでいた老人。
最初の百円
自販機の前で十円足りなかった日、スーツの男性がくれた百円玉。
隣の席のハンカチ
母の危篤で乗った新幹線、隣に座った老紳士がしてくれた話。
のり弁と缶ビール
毎晩同じ弁当を買う常連客が、一週間来なかった。
杖の老人
東欧の町で迷った夜、言葉の通じない老人が宿まで歩いてくれた。
待合室のココア
深夜の救急病院の待合室で、見知らぬ女性と交わした一時間。
黒い傘の傷
雨の日に知らない人から借りた傘が、十年かけて戻ってきた。
終電のベンチ
五十社落ちた夜、駅のベンチで声をかけてきた駅員。