創作動物約2分

カブトムシの自由研究

八さいの息子の自由研究。カブトムシの観察日記。ほぼ原文のまま。

7月22日 おとうさんと じんじゃで つかまえた。オス。つのが ながい。なまえは ツノマル。

7月23日 ゼリーを たべた。くろみつあじ。1日で 1こ たべる。

7月28日 よるに ばたばた とんだ。こわかった。おとうさんも こわがってた。

8月3日 ツノマルは ねてばっかり。つまらない。

8月10日 おばあちゃんちに もっていった。おばあちゃんは むかし カブトムシを てんぷらに した人を しってると いった。うそだと おもう。

8月19日 あまり うごかない。ゼリーを 2日で 1こに なった。

8月25日 あしが 1ぽん とれてた。いたくないのか きいたけど へんじは ない。

8月28日 うごかない。おとうさんが 「じゅみょう」と いった。カブトムシは なつで おわりだと いった。

8月28日の つづき。にわの きんもくせいの したに うめた。ゼリーも 1こ いれた。くろみつあじ。

8月29日 けんきゅうの まとめ

カブトムシは ゼリーを たべる。よるに とぶ。なつに しぬ。

ツノマルは 38日 いきた。

らいねんも じんじゃに いく。ツノマルの こどもが いるかもしれないから。

*

先生の赤ペンは、最後のページに「よく観察しました」とだけあった。はなまるがついていた。

息子は去年、中学生になった。夏休みの最初の週末、自分から神社に行くと言い出した。蚊取り線香と懐中電灯を持って。

一匹もいなかった。

帰り道、息子は「まあ、いるわけないよね」と言った。それから、「くろみつあじって、まだ売ってんのかな」と言った。

#くすっと笑えていい話 #大切な人に会いたくなる話

読み終えて、どうでしたか

保存する・アプリで読む LINEで送る

アプリでは、毎日新しい物語が届きます。

← 前の話グリコ

この話を読んだ人におすすめ

127
創作動物約3分

実家の亀が四十歳になった

長くなるけど聞いてほしい。うちの実家には、父より先に家族になった亀がいる。

158
創作動物約4分

留守番の九官鳥

昭和四十六年の秋、出稼ぎに行く前の夫が、秋田のデパートで九官鳥を買ってきた。一万五千円もした。

77
創作別れ約2分

余白のなっちゃん

祖母のレシピ帳どおりに作っても、あの肉じゃがにならなかった理由。

174
創作友情約4分

鮭をくわえた熊

親友が新婚旅行で買ってきた木彫りの熊。「いらん」と言ったあの日から二十二年、熊は二人の家を黙って行ったり来たりしている。

173
創作別れ約4分

家の電話を解約する日

昭和四十三年から五十八年使った家の電話を、やめることにした。回線が止まる正午の前に、七十九歳はスマホでその番号を押してみた。

148
創作別れ約3分

ポテトの端っこ

ファミレスのパート歴十年。口の悪いうちの横で、三年間レジを打ってきた高校生が今日で辞める。